開集合・位相・連結性・連続性

解析教程 上 新装版

解析教程 上 新装版

解析教程を読んでいて、何となく開集合とか位相とか思い出した。
位相空間の議論の定義は抽象的で何でそんな定義になっているかが分かり難い。学生の時には、微分積分の時、多様体を勉強した時、ルベーグ積分・測度論を勉強した時、と何回か位相空間論に触れたんだけども、その度に一々基礎から思い出し直している気がする。多分、将来また必要になったらその時も基礎から思い出し直すだろうから、ここに、メモっておく。
以下しばらく、全体集合X距離空間とする。

開集合と閉集合

集合A \subset Xが開集合であるとは、

\forall x \in A : \exists \epsilon : N(x, \epsilon) \subset A

を満たすこと。但し、N(x, \epsilon)は、xを中心とした半径\epsilonの開球。気持ちとしては、Aの中の任意の点について、その充分近くは全部Aに入ってるということ。また、集合Bの補集合が開集合ならB閉集合と言われる。

内点・外点・境界点

上の定義だとイマイチ何がやりたいのか分からない。開集合・閉集合の概念は境界点を鍵として理解し易くなると思う。集合A \subset Xが与えられたとき、Aの内点・外点・境界点を以下で定義する。

x\in XAの内点 : \exists \epsilon : N(x, \epsilon) \subset A
x\in XAの外点 : \exists \epsilon : N(x, \epsilon) \subset A^c
x\in XAの境界点 : xが内点でも外点でもない。

気持ちとしては、xの充分近くが全部Aの外(中)に入っちゃうなら、xAの外(内)点。xのどんなに小さい近傍もAの内外両方と交わるならxAの境界点。この定義は、非常に明瞭で、何をやってるか良く分かる定義だと思う。
Aの境界点全部を\partial Aと書く。\partial Aを使うと、開集合・閉集合は以下のような特徴付けが出来る。

Aが開集合 \Leftrightarrow \partial A \cap A = \empty
A閉集合 \Leftrightarrow \partial A \subset A

これを見ると、開集合(閉集合)は開いて(閉じて)いるなぁ、という気分になれる。また、\partial A = \partial (A^c)が成り立つ。

連結性

連結性の定義は難解である。以下の条件を満たす開集合U, V\subset Xが存在しない時、Xは連結であると言う。

  • U, V\neq \empty
  • U\cap V = \empty
  • U\cup V = X

この定義はこのままだと本当によく分からない。なので、ちょっと考える。この場合は、Xが連結でないとはどういうことかを考えるのが分かりやすい。上の定義からすると、Xが連結でないというのは、上の3条件を満たす開集合U, Vが存在する時である。この時、U\cap V = \empty, U\cup V = Xという条件から、V=U^cである。V=U^cが開集合なので、U閉集合である。同様に、V閉集合である。従って、U,Vはともに、開集合かつ閉集合である。これと先の開集合・閉集合の特徴付けを合わせて考えると、

\partial U = \partial (U^c) = \partial V = \empty

である。さらに、U, V\neq \emptyという条件からU,Vは空でない真部分集合である。以上から、Xが非連結であることは、

Xが境界点を持たない二つの真部分集合に分離出来る

と特徴づけられる。逆に考えれば、Xが連結であることは、

Xの任意の真部分集合には境界点がある

ということとして特徴付けられる。こう考えると、先の定義が「連結性」を定義している感じがつかめる。

連続性

連続性についてはまた今度考えることにしよう。