位相空間のメモ 2

その1 の続き。

以下、距離空間Xを全体空間として考える。

近傍

A\subset Xx\in Xの近傍である、とは、

x\in U, U\subset A なる開集合Uが存在する

という条件を満たすこととして定義される。これは何を言ってるんだろうか。この定義も、内点・外点・境界点という概念に着目すると分かりやすいと思う。集合Aと点xが与えられたとき、Axの関係は、

  • xAの内点である
  • xAの外点である
  • xAの境界点である

のどれかである。「xAの外点である」の場合は、明らかにAxの近傍と呼ぶのは無理である。重要なのは、「xAの境界点である」の場合も、Axの近傍と呼ぶのは相応しくないということだ。位相空間の議論において、Axの「近傍」である、と言ったならば、Axに「近い」点は全部含んでいて欲しいのである。あるいは、Axの「周り」を全部含んでいて欲しい。しかし、「xAの境界点である」の場合には、xの任意に近い場所に、Aに含まれない元がある。従って、どんなに微視的に見ても、Axの「周り」を全部含んではいない。残ったのは、「xAの内点である」の場合だけだけど、この場合は、xの充分近い点は、全部Aに含まれる。従って、この場合はAxの近傍と呼ぶに相応しい。そして、「xAの内点である」と「x\in U, U\subset A なる開集合Uが存在する」は同値である。