研修に行く

本日は、会社の研修。近頃は、すごくベクトルが内向きなので殆ど何も聞かず微分幾何を内職で進める。今は、20章をやっている。で、やっと微分形式というものがなんとなく分かってきた。

微分形式というのは、それ自体では有限な量では無いんだけど、積分するとちゃんと何かの量を表すことになるような、曲面の各点に付随している値、という感じか。例えば、2次元曲面$S$の面積を考える。曲面の面積は、まず2次元のユークリッド空間の部分集合$U$からその曲面への写像$f$で曲面を径数表示してあげた上で、その径数表示の座標ベクトル場が張る平行四辺形の面積を$U$上で積分すると計算出来る。このとき、径数表示の仕方によらずに面積が定まってくれるのは、径数表示が「速く」なったり「遅く」なったりすると、その径数表示に付随して決まる座標ベクトルが、「大きく」なったり「小さく」なったりしてくれるからである。例えば、$U$$x_1$方向に2倍に延ばしたとすると、$x_1$方向の座標ベクトルはきちんと半分の長さになってくれて、座標ベクトルの張る平行四辺形の面積も半分になる。で、積分する領域が2倍になって、被積分関数が半分になるので、積分した結果は不変、というわけである。

面積という値の内在性に対して、径数表示の仕方というのは内在的でないので、上の考え方をもう少し内在的な話で考えてみる。上で述べたような方法で、径数表示に依らない面積が定義出来るには、曲面の各点に、2つのベクトルを貰うとそのベクトルの張る平行四辺形の面積を返すような写像(即ち面積要素)があって、これが少なくとも多重線形的で、歪対称的であるというのは必要であることが分かる。多重線形性は、径数表示の「速さ」を変えた時に面積が変わらないために必要で、歪対称性は、径数表示を裏返した時に面積が変わらないために必要。で、実は多重線形性と歪対称性のある写像というのは、もうこの時点でかなり面積要素というものに近くなっている。この2つの性質に正規直交2つのベクトルに対する値が1という制限を加えると、それで面積要素とう写像が特徴付けられる。これは、むかーし、線形代数行列式の特徴付けが、各列に対する多重線形性と歪対称性と単位行列の時に値が1という3つの要請で与えられていたのと全く同じ(2次の正方行列の行列式は列ベクトルの張る平行四辺形の面積に注意)。で、微分形式というのは、正規直交なベクトルに対する値が1という制限だけを除いたもの。面積っていうのは、1という「密度」を全領域で積分したものなんだけど、この「密度」が曲面上で滑らかに変動してよいよ、というのが微分形式。

自分は、こういう感じで、微分形式というのが、それ自体では有限な量ではないんだけど、積分するとちゃんと何かの量になってて、しかも積分する時の径数表示の仕方によらないんだ、ということを理解した。