読書メモ - シンメトリーの地図帳

シンメトリーの地図帳 (新潮クレスト・ブックス)

シンメトリーの地図帳 (新潮クレスト・ブックス)

群論の本。群論は、昔習ったし、その後も何度か独学に挑戦したものの、イマイチ定理の内容が頭に入ってこなかった分野であった。こういうのは、何かのきっかけで分かるようになってくると、何で昔分からなかったのかが分かってきて、そこに気が付いて意識しながら勉強すると、格段に理解のスピードが上がると思う。自分の群論の場合は、群というのは対称性を記述して区別する物だという視点が足りなかったということに気が付いた。これまで出会った群論の教科書は、群の抽象的な定義(積、結合則単位元と逆元が云々)だけ宣言しておいて、以下抽象的な定理の証明に入っていく。で、その見た目に騙されて、抽象的な定義だけを頼りに議論を追おうとしていた。まぁ最初の方の定理は簡単だから何となく分かるんだけど、具体的なイメージが無いから、イマイチ証明を読んでも定理の意味内容が分かった気になれず、そのうち後ろの方の定理の証明で前の定理を使われたりすると、ついていけなくなってしまうのであった。
この本は、一般向けのエッセイなので、本当に簡単な(正四面体とか壁の模様とか)具体例で、群が対称性を持ったものに作用する状況を丁寧に解説してくれいている。そのおかげで、自分の中に群というのがただ抽象的に定義されただけのものから、何かしら意味・実体のあるもののように感じられてきて、昔群論で習った定理の意味するところが、何となくイメージ出来るようになってきたと思う。
で、こういう具体的な対象物に作用する群として側面を強調した教科書があったので、最近読み始めた。これ。
対称性からの群論入門 (Undergraduate Texts in Mathematics)

対称性からの群論入門 (Undergraduate Texts in Mathematics)