ニーズ(needs)とウォンツ(wants)

この間、研修で面白いことを言っていたのでメモ。

「水が飲みたい」はニーズであるか?マーケティングの文脈では、こういうのはニーズとは言わないらしい。ニーズの定義とは、満たされていない何かしらの欲求のことを言うらしい。そして、その満たされていない欲求を満たすために起こしたいと思っている行動/欲している物のことは、ウォンツと言うのだそうだ。先の例だと、「喉が渇いた」とか「暑い(ので涼しい思いをしたい)」という気持ちがニーズである。これだとそんな区別を付ける意味が分かりにくいけど、次のような例を考えてみる。

あるおじさんが、「高級カメラが欲しい」と思っているとする。これは、ニーズでは無くてウォンツである。で、この背後にあるニーズとはどんなものが考えられるか、と思考を展開する。おじさんなんで、多分何か余暇を埋める趣味が欲しいんだろうな、とか出てくる。で、ここでポイントになるのは、一つのニーズに対して発生し得るウォンツは一つとは限らないこと。この場合であれば、絵画教室とか旅行みたいなサービスが高級カメラという商品ジャンルの競合となり得る。または、「機械いじりがしたい」というニーズを想定すると、パソコンだったりiphoneなども競合になり得たりする。

という話。これを思い出したのは、

野村総合研究所はこうして紙を無くした! (アスキー新書)

野村総合研究所はこうして紙を無くした! (アスキー新書)

を読んだから。この本で書いてあるのは、

  1. オフィスの紙消費量及び紙の保管費用を減らしたいと思った
  2. 「減らしましょう」とか「減らせ」とか言ってるだけでは駄目っぽい
  3. 紙を利用する機会が自然と減るようなオフィスの環境作り/仕事のスタイル作りを目指さないとね
  4. そのために私たちは***やxxxをしました

というようなこと。例えば、会社から貰った正式文書は何となく捨てちゃ駄目っぽい感じがするんだけど、電子的にいつでもアクセス出来るようになってれば捨てる時の精神的ハードルが下がるね、とか、会議室にプロジェクタ置くと紙資料要らないね、とか基本的なことから、もう少し工夫が必要なアイデアまで書いてある。で、これって実は「紙に印刷したい」というウォンツの背後にあるニーズ(きちんと取っておいて必要な時に見たい、視覚情報を同時に共有したい)に紙以外の解決策を出していっているんだな、と思ったのであった。