プログラミングのための線形代数

プログラミングのための線形代数

プログラミングのための線形代数

図書館に頼んでおいたのが届く。非常に良い本だと思う。

数学の本って、

  • 素人向けの、直感的と言いながら結果だけしか載ってない本
  • 玄人向けの、厳密な証明がずらずらと並ぶ本

が両極端にあるスペクトルのどこかに位置するものが多いと思う。が、この本はその1次元空間に直交する方向の成分を持っている。

この本の方針の特徴は、数学的な意味での一般的な状況に対する証明じゃないんだけど一回読んじゃえば背後で現象を支配している原理が分かっちゃう具体的な例での説明、を貫いているところ。これが、読んでいて非常に有難い。数学の定理を理解出来たなと思うのって、xxxという結果が成り立ちますという文言を知識として得た時(上の素人向けの本を読んだ時)でもxxxという結果が成り立つ事はこうして証明できますというのを歯を食いしばって辿り終えた時(玄人向けの本を読んだ時)でもない。それは、何て言うかその結果を成り立たせている理由/原理みたいなものが頭に入った時だと思う。そうなるためには、具体的な正例と反例に触れて確認するのが一番。逆に、結果の背後にある原理が理解出来ると、その定理に対する典型的な正例や反例はちょっと頭つかうパズルみたいなノリで構成出来るようになる。この本の説明は、素人向けでは触れられることも無く、玄人向けでは抽象的な説明から読者が自力で行うことを要請されている、具体的なケースの構成を著者達がやっといてくれている感じ。

やっと、ジョルダン標準形が何やってるか分かる気がしてきた。思えばこれも最初に習ったのは10年くらい前。